念願のマイホームを購入したものの、住宅ローンの返済に頭を抱えている方もいるのではないでしょうか。
特に30代で出産を迎えて支出が増えたり、景気の悪化によって収入が減少したりすると、それまでの収支バランスが大きく崩れることに。
収支バランスが崩れやすい状況にあっても、30年以上の返済期間で融資を受ける住宅ローンは支払いが続きます。
毎月一定額が懐から出ていくことになるため、返済に苦労し始めたら早急な対処が重要です。
そこで本記事では、住宅ローンの返済が苦しくなる原因を踏まえて、5つの対処法をご紹介します。
やってはいけない行動も合わせて解説しますので「住宅ローンの返済が苦しい…」という方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。
住宅ローンの返済で家計が苦しくなる原因は?
住宅ローンを無理なく返済し続けるためにも、まずは家計を圧迫する原因を知りましょう。
- 支出の管理ができていない
- 返済比率より高い借り入れをした
- 収入が減った
- 思わぬ出費が増えた
ひとつずつ解説します。
原因①支出の管理ができていない
毎月の収支が安定しなかったり、赤字が続いてしまったりしている人の特徴に「支出管理ができていない」ことが挙げられます。
「なんとなく欲しいから」という理由で給料を使っていると、いつの間にか手元にお金が残っていない状態に。
特に給料日直後は気持ちが大きくなり「自分へのご褒美に」と、買い物や飲み会に走ることもあるでしょう。
収支を把握できていないことは、直接的に家計を圧迫し、住宅ローンの返済を滞らせる原因になります。
ギャンブルやクレジットカードによる無計画な買い物をしている方は、住宅ローンの返済が苦しくなる前にムダな支出を減らしましょう。
原因②返済比率より高い借り入れをした
憧れのマイホームを購入する際、理想の住まいを手に入れるために、無理のある返済プランを組むこともあるでしょう。
理想の返済比率は、収入の20〜25%ほどといわれています。
年収が400万円の場合、月々の返済額が6万6,000〜8万3,000円に収まると家計を圧迫しづらい計算。
ですが、住宅ローンは30%以上でも組めるので、年収を大幅に上回った借り入れをするリスクが生じます。
住宅ローンを組むときには、これまで住んでいた賃貸物件の家賃などを参考にしながら、返済プランを組むのがおすすめ。
返済に苦しむ生活を送らないためにも、収入に見合った借り入れが大切です。
原因③収入が減った
思わぬ事故に遭ったり、病気にかかったりして仕事ができなくなると、収入が減ることに。
貯蓄があれば休業中でも心配は少ないですが、復帰の目処が立たないと住宅ローンの返済も危ぶまれるでしょう。
会社員であれば傷病手当の申請ができますが、支給されるのは通算して1年6ヶ月までです。
支給も給与の65%ほどなので、これまでの住宅ローン返済が賄えない可能性もあります。
また、リストラにあったり、会社が倒産した場合も収入が減ることに。
収入が減ったとしても住宅ローンの返済は続くので、結果的に家計を圧迫するでしょう。
原因④思わぬ出費が増えた
ライフイベントの変化によっても出費は増えるため、備えをしなければ住宅ローンの返済に苦しむことに。
たとえば、家を建てたあとに子どもが生まれた場合、最低でも高校進学までの教育資金が上乗せされます。
文部科学省の「令和3年度 子供の学習費調査」によると、公立の幼稚園から高校卒業までに必要な学習費は、156万9,462円。
このデータ結果は、学校での教育費や給食費だけなので、高校を卒業するまでにはそれ以上の資金が必要です。
今後起こりうるライフイベントを想定した借り入れをしなければ、月々の返済が苦しくなるでしょう。
【月々8万円】住宅ローンの返済が苦しくなるケース
「住宅ローン8万円の返済がきつい…」とささやかれているのをご存知でしょうか。
ここでは、8万円の住宅ローン返済がキツくなるケースを見てみましょう。
国土交通省「令和4年度 住宅市場動向調査」によると、土地付きの注文住宅を建てた人の平均借入額は、3,722万円との結果に。
35年かけて返済をする場合、月々の返済額は約8万9,000円です。
年収400万円の人が3,700万円の借り入れをする場合、返済比率が27%以上となります。
推奨の返済比率は20〜25%といわれるので、平均的な借り入れをした場合、年収が400万円以上でないと返済に苦しむでしょう。
すでに家計を圧迫する借り入れをした場合、何らかの対処をしないと滞納のリスクが上がります。
滞納が続けば、最悪の場合競売にかけられて格安で家を手放すことになるので、できるだけ早めに対処しましょう。
住宅ローンの返済で家計が苦しいときの対処法5つ
すでに住宅ローンの返済が家計を圧迫しているのであれば、以下の対策を取ることをおすすめします。
- 家計簿をつける
- 金融機関に相談する
- 借り換えを検討する
- 任意売却をする
- リースバックを視野に入れる
《対処1》家計簿をつける
家計が苦しい状況を脱出するには、まず家計簿をつけ、収支を把握することから始めましょう。
家計簿をつけると、毎月発生する支出のうち「絶対に削れない費用」と「無駄な費用」が一目でわかるようになります。
特に30代以降は住宅ローンの返済に加え、教育資金といった大きな支出を控えている家庭も多いのが特徴。
保険を見直したり、収入の先取り貯金をしたりすることで、住宅ローンの返済に回せる可能性が高まります。
「自分で家計を見なすのが難しい…」という方は、お金のプロであるファイナンシャルプランナーに相談するのもおすすめ。
弊社ではファイナンシャルプランナーへの相談も可能なので、お気軽にご相談ください。
《対処2》金融機関に相談する
給与が上がりにくい昨今の経済状況の影響で、収支の見直しをしても状況があまり変わらないケースも考えられるでしょう。
このような場合は、住宅ローンを組んだ金融機関に相談するのもおすすめです。
住宅ローンは一度融資を受けたあとでも、毎月の返済金額や返済期間、ボーナス払いなどの見直しを相談できることがあります。
住宅ローンの返済が難しいと思い始めたら、できるだけ早めに相談に行くようにしましょう。
《対処3》借り換えを検討する
借り入れた金融機関への相談が難しい場合、ほかの金融機関への「借り換え」を検討するのもひとつの手。
たとえば、住宅ローン返済の残額3,000万円を、あと30年かけて返済するとしましょう。
借り換えにより金利を0.3%下げられた場合、総額で145万円ほど返済額を減らせる可能性があります。
ですが、借り換えをする場合は、初期費用がかかる点に注意が必要です。
- 1,000万円以上ローンの返済が残っている
- 返済期間が10年以上ある
- 借り換え後の金利が1%以上下がる
上記の条件に当てはまる場合に、借り換えは有効な手段といえます。
《対処4》任意売却をする
「任意売却」とは、住宅ローンの返済が困難な際に、金融機関に了承を得たうえで自宅を売却する方法です。
住宅ローンの返済が厳しいと「いっそ自宅を売ったお金でローンを完済してしまおう」と考える方もいるのではないでしょうか。
売却金額でローン残債を完済できる場合は、問題ありません。
ですが、ローン残債が売却額よりも高い「オーバーローン」の状態では、金融機関から売却の了承を得られないので要注意。
この場合『任意売却』を利用できると、オーバーローンの状態でも自宅を売却できます。
売却金額で返済できなかったローン残債については、一括または分割で返済が可能です。
《対処5》リースバックを視野に入れる
任意売却を利用するだけでは自宅が手元に残らないため、せっかく購入したマイホームを手放さなくてはいけません。
任意売却で売却した自宅に住み続けたい場合に活用できるのが「リースバック」です。
リースバックとは、自宅の売却と同時に買主を賃貸人として賃貸借契約を結ぶことで、そのまま住み続けられる方法。
- 学校の校区を変えなくてよい
- 近所の人に自宅の売却を知られない
- マイホームに住み続けられる
このような理由から、リースバックはローン返済が難しい方々に選ばれる手段となりつつあります。
任意売却やリースバックは、いずれも専門的な知識や経験を持った会社への依頼が必要です。
自宅の売却が成立するまでには数ヶ月かかるため、可能な限り早い段階で行動に移しましょう。
絶対NG!住宅ローンの返済が苦しくてもやってはいけない2つの行動
住宅ローンの返済が厳しいからといって、安易な行動を取ってはいけません。
ここでは、住宅ローンの返済に苦しむ人がやってはいけない2つの行動をご紹介します。
- 金利の高い消費者金融から借り入れをする
- 滞納し続ける
NG①金利の高い消費者金融から借り入れをする
住宅ローンの返済を最優先するため、一時しのぎとして消費者金融からの借り入れを検討する方もいるはず。
ですが、消費者金融の借り入れも住宅ローンも、借金と同じです。
金利の上限額を18%と設定する消費者金融も多く見受けられます。
「10万円だけなら大丈夫」と考えても、返済するときは1万8,000円上乗せされた金額を返済しなければなりません。
滞納が続くと、車や自宅を手放す自己破産のリスクも発生するので、高金利の消費者金融からの借り入れは避けましょう。
NG②滞納し続ける
住宅ローンを滞納すると、借り入れた金融機関から督促の連絡が入ります。
連絡を無視して滞納を続けた場合、金融機関は裁判所へ「差し押さえ」の申請をする流れです。
差し押さえになった家は競売にかけられ、市場価格よりも格安で売られることに。
一般的に、競売に至るまでの期間は、滞納から1年6ヶ月ほどといわれています。
滞納から数ヶ月であれば「任意売却」を検討できるので、督促を無視し続けることはやめて、早めに専門家へ相談をしましょう。
まとめ
マイホームの購入は、多くの方が目標にしていることの1つです。
しかし、ライフイベントによる支出の増加や一次的な収入の減少などにより、住宅ローンの返済に苦しむケースもあるでしょう。
家計を見直してみても状況が変わらない場合は「任意売却」や「リースバック」によって問題が解決できる可能性もあります。
滞納が続くとご自宅を競売にかけられることもあるので、できるだけ早く専門家へ相談しましょう。